フードバンクの全てが分かる!寄付方法や受取条件まで解説

フードバンク
フードバンク

2017年の1年間での日本の食品ロスは612万トン、これは年間の米の生産量に匹敵する数字です。
これは「ごみ」ではなく、まだ食べられるのに捨てられた食品の量です。その一方でご飯を満足に食べられずに困っている人がいる。その橋渡しをしているのが、フードバンクという活動です。

フードバンクとはどのような団体で、どのような活動をしているのでしょうか?
フードバンクの仕組みからフードバンクの利用方法まで、フードバンクのすべてを分かりやすく解説していきます。

フードバンクとは?

冒頭で紹介した食品ロスの量。あまりにも大きな数字で実感がわかない方も多いのではないでしょうか?

食品メーカーや農家、飲食店、そして家庭から出るたくさんの食品ロス。まだ充分に食べられるのに、様々な理由から毎日たくさんの食品が廃棄されています。

「廃棄するくらいなら、食べものを必要としている人に届けたい」
フードバンクとは、まだ食べられるのに捨てられる食品を、食べものを必要としている福祉施設や福祉団体、そして個人に届ける活動です。

フードバンクは大きな社会貢献活動として、昨今大きな注目を浴びています。ぜひ、フードバンクという活動を知ってみてください。

フードバンクの仕組み

ここでフードバンクの仕組みを見ていきましょう。
企業や個人から寄付された食品は、児童養護施設の子供たちや、DV被害者のためのシェルター、ひとり親家庭など様々な方に届けられています。

出典:NPO法人POPOLO

フードバンクは食品を提供してくれる人と、食べものに困っている人との橋渡しをしている団体です。

食品を提供する人はだれ?

フードバンクに食品を提供するのは、食品メーカーなどの企業や飲食店、農家などです。
包装の破れや印字ミスなど様々な理由により、まだ食べられるのに捨てられる食品を提供しています。

食品が廃棄されるケースを具体例で見ていきましょう。

  • 期間限定商品やキャンペーンでの売れ残り商品
  • 新商品切り替えによる旧商品や旧パッケージ
  • 商品の回転が遅く倉庫内で賞味期限が迫っている商品
  • サンプル食品の在庫余り
  • パッケージの印字ミスや印刷ミス
  • 缶詰や箱など包装容器のへこみやキズ
  • 野菜や果物の豊作による食品ロス
  • 取引先が指定する規格に沿わない野菜や果物(規格外品)
  • 取引先が指定するサイズに育たなかった牛や豚などの畜産物
  • 賞味期限が迫った防災用の備蓄食品
  • 展示会・イベント・試食・サンプリング等で余った食品

食品を管理して届ける人=フードバンク

多くのフードバンク団体はボランティアで構成されています。フードバンクの活動が認知されはじめて、行政との連携で運営されているところも増えてきましたが、実務はやはりボランティアの方たちが行っています。

食品寄贈者が直接提供するのではなく、間にフードバンクが入ることで、食品を受け取る福祉施設や団体に無駄なく食品を届けることができます。

食品を受け取る人

フードバンクが食品を届けるのは、主には以下のような福祉施設や福祉団体です。

  • 児童養護施設
  • 母子生活支援施設
  • DVシェルター
  • 緊急一時宿泊施設(ホームレス支援等)
  • 障害者施設
  • 老人ホーム・介護施設
  • 自立支援施設
  • 外国人支援団体
  • 子ども食堂

フードバンク団体によっては、生活に困窮している個人にも食品を届けています。

個人がフードバンクから食品を受け取る場合は、スーパーや役所などの拠点で受け取ることがほとんどです。
個人への配送対応をしているフードバンク団体もありますが、コストがかかるためほとんどの団体が配送を行っていません。

また、イベント会場などで食品を配布するフードバンク団体もあります。詳しい情報については、お近くのフードバンク団体や役所の情報をチェックしてみましょう。

なお、個人の受け取り方に関してはフードバンクで受け取るの章で詳しく解説します。

フードバンクのメリット

フードバンクは食べものを必要としている福祉施設や福祉団体にだけメリットがある活動ではなく、食品を提供した企業や、社会全体にも大きなメリットがあります。

企業のメリット

企業がフードバンクに食品提供をすることは、食品ロスを削減できるだけではなく、企業自体にも大きなメリットがあります。企業がフードバンクを利用する5つのメリットをご紹介します。

廃棄にかかるコスト削減

企業が食品を廃棄するには、廃棄処理費用や廃棄処理場までの運搬費など多くのコストがかかります。

さらに、廃棄商品のパッケージなどを分別する必要もあり、食品ロスを処分するために多くの手間や人件費がかかります。

食品によってはリサイクルも可能ですが、リサイクルもまた多くのコストがかかります。

フードバンクを活用することで、今までかかっていたコストや手間を大幅に削減することが可能になります。

税制上の優遇

企業がフードバンクへ食品提供をする場合、税制上の優遇措置を受けることができます。

フードバンクに提供する食品が商品廃棄として行われるものであれば、提供するために必要な費用を損金額として算入することができます。

社員のモチベーションアップ

食品の製造や販売に携わる人の中には、食べられる食品を廃棄するという行為に心理的負担を感じる方も少なくはありません。

売上にはつながらなくても、廃棄ではなく誰かがおいしく食べてくれていることで、社員のモチベーションにも良い影響があるでしょう。

マーケティングとして活用

フードバンクにより企業の商品が配られることで、多くの人に自社製品を知ってもらうチャンスが増えます。

「この商品おいしい」と思ってもらえることは、潜在的に顧客を増やすことにもつながるでしょう。
また、新製品のモニタリングとしてフードバンクを活用する方法もあります。

SDGsへの貢献

SDGsへの社会的な関心は年々高くなっています。多くの投資家や消費者が、企業のSDGsへの取り組みに関心を持っています。

食品ロスの削減は、SDGsの中でも急務な取り組み事項の一つとされています。
食品ロス削減の解決策であるフードバンクの取り組みは、社会的に高く評価されることでしょう。

企業の社会的責任(CSR)という観点でも、フードバンクへの取り組みは企業価値を上げることにつながります。

社会のメリット

フードバンクの活動は、食品を寄付する人や受け取る人だけにメリットがあるわけではありません。
フードバンクの活動が広まることで、社会にも大きなメリットがあります。フードバンクが社会に与える3つのメリットを見ていきましょう。

食品ロスの削減

食品ロスは、地球環境に与える負荷がとても大きいことで問題視されています。
例えば、食品ロスを焼却処理する際に発生するCO2は、地球温暖化の原因の一つです。

食品ロス削減が日本だけでなく世界的な重要課題とされている理由は、環境への影響を危惧されているためです。

フードバンクは、食品ロスを削減するための有効な手段の一つとして国からも支援されています。

財政負担の軽減

フードバンク活動は、貧困とも密接な関係があります。
生活に困窮している方々に食品を受け取ってもらうことで、間接的に経済的支援を行うことができます。

さらに「食べること」で働く意欲が向上し、生活保護受給者や生活困窮者らの就労サポートとなることにも期待されています。

こうした流れは結果的に、福祉に使われている国の財政負担を軽減することにもつながります。
また、食品ロスを減らすことで、食品ロスの焼却処理にかかる財政負担も軽減することができます。

地域の活性化

フードバンクは地域に住む人たちのコミュニケーションにも貢献しています。

福祉施設の職員が初訪問の家庭に言っても、なかなか話が弾まずに終わることも多いようです。
しかし、食べ物があることで話が広がりやすく、コミュニケーションが取りやすくなっているという事例もあります。

フードバンクの食品は、生活困窮者のみならず、高齢者や子どもたちにも届けられています。
フードバンクはただ食品ロスを配布するだけではなく、食品を通して人と人とをつなぐ活動とも言えます。

受取る側のメリット

最後に、フードバンクから食品を受け取る側のメリットについて解説します。

ただ食品を受け取るだけではなく、食品を受け取ることで様々な間接的メリットがあります。

食費の節約

フードバンクから食品を受け取ることで、食費を節約することができます。

受け取る側が団体であっても個人であっても、食費が節約できると他の支出にお金を回すことができます。

例えば児童養護施設では、浮いたお金で本や遊具などを購入することができ、子どもたちの心身の充実に役立っています。

食事の喜び体験

福祉施設では、予算の関係上でどうしても金銭面を優先して食材を選びがちです。個人の場合でも同じことが考えられるでしょう。

フードバンクから届けられる食品の中には、高級な調味料や菓子類などが含まれていることもあります。

普段とは違う食事体験は、食への興味や味覚の広がり、そして喜びの体験につながっています。

「食べること」の喜びは、体だけではなく精神的なエネルギー補給にもつながるでしょう。

食を通しての新たなコミュニティー

フードバンクを利用することで、新たなコミュニティーをつくるきっかけになることもあります。

例えば、フードバンクの食品の受け渡しの際のコミュニケーションなど、普段とは違うコミュニティーを持つことで、精神的な活力となる可能性もあります。

気軽に作れるコミュニティーも食品を受け取る側のメリットの一つといえるでしょう。

全国のフードバンク団体

2019年時点では、日本には100を超えるフードバンクの団体があるといわれています。

多くのフードバンク団体はボランティアでまかなわれており、活動内容も支援先も様々です。連盟に加盟して組織的に活動を行っているフードバンクもあれば、少人数で地域で活動している小さなフードバンクもあります。
また、自治体や生協のような組織がフードバンクの活動を始めるケースもあります。

フードバンクは寄付によって成り立っているため、高い志で始めても活動が継続できなくなる団体が多いのも現実です。
以下にご紹介するフードバンク団体は、全国的に見ても規模が大きく、組織的に活動が行われているフードバンク団体です。

セカンドハーベスト・ジャパン

日本で初めてフードバンクを立ち上げたのは、2000年に活動を開始したセカンドハーベスト・ジャパンです。メディア露出も多く、フードバンクの国内最大手といえる団体です。

2002年7月にフードボートという名称でフードバンクを立ち上げ、2004年にセカンドハーベスト・ジャパンに組織名を変更しました。CEOを務めるマクジルトン・チャールズ・E氏は、日本にフードバンクを広めた第一人者と言えます。また、農林水産省から委託を受けて、フードバンク運営マニュアルも作成しました。

食材を施設に届ける他にも、炊き出し(ハーベストキッチン)、個人支援(ハーベストパントリー)、無料スーパー(marugohan)など、様々な形で食品を提供しています。さらに、食品を充分に集められない他のフードバンク団体にも食品を寄贈しています。

フードバンク山梨

セカンドハーベスト同様に規模の大きなフードバンク団体です。セカンドハーベストは運営資金の多くを寄付でまかなっていますが、フードバンク山梨は年間約7,000万円の運営資金のうちの約半分を助成金や行政からの補助金でまかなっています。フードバンク以外にも学習支援や生活困窮者自立支援法の相談事業、実態調査事業、こども支援プロジェクトなど多方面にわたって活動しています。

その他全国のフードバンク団体一覧

上記のフードバンク団体の他にも、積極的に活動を行っている全国のフードバンク団体を紹介します。

北海道・東北

北海道 札幌市 札幌市福祉生活支援センター(フードバンク札幌)
北海道 札幌市 フードバンクイコロさっぽろ
岩手 盛岡市 フードバンク岩手
宮城 多賀城市 いのちのパン
宮城 仙台市 コープフードバンク
宮城 富谷市 ふうどばんく東北AGAIN
宮城 石巻市 フードバンクいしのまき
秋田 秋田市 フードバンクあきた
山形 山形市 やまがた福わたし
福島 郡山市 FUKUSHIMAいのちの水
福島 いわき市 ザ・ピープル

関東

茨城 牛久市/水戸市 フードバンク茨城
栃木 宇都宮市 フードバンクうつのみや
群馬 桐生市 フードバンク桐生
群馬 館林市 フードバンク北関東(三松会)
埼玉 さいたま市 フードバンク埼玉
埼玉 入間市 フードバンクいるま
千葉 千葉市 フードバンクちば
千葉 船橋市 フードバンクふなばし
東京 台東区 セカンドハーベスト・ジャパン
東京 狛江市 フードバンク狛江
東京 日野市 フードバンクTAMA
東京 八王子市 フードバンク八王子えがお
東京 調布市 フードバンク調布
神奈川 横浜市 フードバンクかながわ
神奈川 横浜市 フードバンク横浜
神奈川 横浜市 フードバンク浜っ子南
神奈川 平塚市 フードバンクひらつか

中部・北陸

新潟 新発田市 フードバンクしばた
新潟 新潟市 フードバンクにいがた
富山 射水市 フードバンクとやま
石川 金沢市 いしかわフードバンク・ネット
山梨 南アルプス市/中央市 フードバンク山梨
長野 長野市 フードバンク信州
長野 松本市 ホットライン信州
岐阜 大垣市 フードバンクぎふ
静岡 静岡市 フードバンクふじのくに
愛知 名古屋市 セカンドハーベスト名古屋
愛知 豊橋市 東三河フードバンク

関西

三重 伊勢市 フードバンクISE
滋賀 草津市 フードバンク滋賀
滋賀 彦根市 フードバンクひこね
京都 京都市 セカンドハーベスト京都
京都 向日市 フードバンク京都
大阪 堺市 ふーどばんくOSAKA
兵庫 神戸市 フードバンク関西
兵庫 姫路市 フードバンクはりま
奈良 生駒郡 フードバンク奈良
和歌山 御坊市 フードバンク和歌山

中国・四国

島根 松江市 フードバンクしまね
岡山 高梁市 順正デリシャスフードキッズクラブ
岡山 岡山市 フードバンク岡山
広島 広島市 広島こども食堂支援センター
広島 福山市 フードバンク福山
山口 山口市 フードバンク山口
徳島 徳島市 フードバンクとくしま
香川 高松市 フードバンク香川
高知 高知市 フードバンク高知
愛媛 松山市/新居浜市 eワーク愛媛

九州・沖縄

福岡 北九州市 フードバンク北九州ライフアゲイン
福岡 福岡市 フードバンク福岡
福岡 大牟田市 フードバンク大牟田
福岡 久留米市 フードバンクくるめ
福岡 飯塚市 ふれあいフードバンク飯塚
福岡 飯塚市 フードバンク飯塚
佐賀 佐賀市 フードバンクさが
長崎 佐世保市/長崎市/神埼市 フードバンク協和
熊本 熊本市 フードバンク熊本
大分 大分市 フードバンクおおいた
大分 大分市 フードバンク東九州
宮崎 日向市 フードバンク日向
鹿児島 鹿児島市 フードバンクかごしま
鹿児島 霧島市 お助けマン霧島
沖縄 那覇市 フードバンクセカンドハーベスト沖縄
沖縄 沖縄市 子どもフードバンクKFB

公益財団法人日本フードバンク連盟とは?

上記のフードバンク団体のいくつかは、 日本フードバンク連盟に加盟しています。

日本フードバンク連盟は、安全なフードバンクの運営を目的とする、内閣が認めた組織です。
フードバンク団体の衛生管理チェックなどいくつかの条件を設け、それらをクリアした団体が日本フードバンク連盟の認証を受けることができます。

理事長はセカンドハーベスト・ジャパンCEOのマクジルトン・チャールズ・E。同団体も日本フードバンク連盟による認証を受けています。

一般社団法人全国フードバンク推進協議会とは?

全国フードバンク推進協議会はフードバンク団体を支えるための組織です。

フードバンクの相談窓口のような機能も担っており、フードバンク団体が抱えている課題を共有して解決を目指しています。
日本中に同協議会の加盟団体があり、これからフードバンクを始めたい人からの相談も受け付けています。

全国フードバンク推進協議会の理事長は、フードバンク山梨の理事長でもある米山けいこ氏が務めています。

フードバンクに寄付する、参加する

なんとなくフードバンクについて理解ができたら、次はどうすればフードバンクに参加できるのかを見ていきましょう。フードバンクに参加すると一言でいっても、食べ物を寄付したり、お金を寄付したり、ボランティア活動という形で参加したり。色んな参加の形があります。また、自身でフードバンク団体を設立するという方法もあります。一つずつ順に見ていきましょう。

余った食べ物を寄付する

フードバンクへの寄付は飲食店やスーパーなど企業が主に行っていますが、個人がフードバンクへ寄付することも可能です。ただし、フードバンク団体によって寄付を受け付けている食品が違うのでその点には注意が必要です。

企業や店舗が寄付する場合には、フードバンクに直接問い合わせて確認してみましょう。
個人が寄付する場合は「フードドライブ」か「フードバンクポスト」を利用するのが一般的です。お家に余っている食品を、必要としている誰かの為に届けてみましょう。

「 フードドライブ」って何?

出典:アフロ

フードドライブとは、家庭で余っている食べ物を参加者自らが会場に持ち寄る方法です。ダイエーやコープなどのスーパー、その他学校やイベント会場などで行われていることが多いです。ただし、フードドライブは開催日時が決まっているので、事前に情報を確認する必要があります。

「フードバンクポスト」って何?

出典:盛岡市

フードバンクポストと呼ばれるものは、ポストを常設して食品を集める方法です。フードバンクポストもスーパーや施設、地域によっては市役所、郵便局などにも設置しています。

フードドライブとの大きな違いは常設してあることです。日時を合わせていく必要がなく、場所さえ覚えておけば何かのついでに食品を寄付することができます。
ただし、人が立ち会わない無人のフードバンクポストでは、フードドライブよりも受け付けている食品に制限が多い場合もあります。

フードドライブやフードバンクポストは、個人がフードバンクに参加しやすい仕組みであるとともに、フードバンク活動を知ってもらうきっかけ作りになるというメリットもあります。
また、フードバンク団体にとって負担の大きい「食品の回収」が軽減され、多くの食品を少ない労力で集めることができます。

しかし、フードドライブやフードバンクポストには、いずれにしてもボランティアスタッフや場所提供の協力が必須です。最近では自治体が積極的に協力しているところも増えています。

宅配で寄付する

お住まいの地域でフードドライブを行っていない場合は、個人からの宅配による寄付を募っているフードバンク団体を探してみましょう。宅配で食品を送る場合は、あくまでも寄付なので送料は自己負担の元払いになります。また、「平日の午前中指定」などの決まりを設けているフードバンクもあるので、発送前に確認しましょう。

個人が寄付できる食品一覧

フードバンクが取り扱う食品は団体によって違いがあります。冷蔵・冷凍保存が可能な設備や運搬車輛、フードバンク団体の規模などによって受け付けている食品が違います。
ここでは、フードバンクが受け付けている食品の一般的な基準を上げておきます。

好まれるもの
  • お米(白米・玄米・アルファ米)
  • パスタ、素麺などの乾麺
  • 缶詰、レトルト食品
  • のり、お茶漬け、ふりかけ
  • 粉ミルク、離乳食
  • 調味料
  • 菓子類
  • 飲み物
取り扱いできるもの
  • 賞味期限まで1カ月以上あるもの
  • 常温で保存できるもの
  • 未開封のもの
  • 外装に破損がないもの
取り扱いが難しいもの
  • 賞味期限が切れている食品
  • 賞味期限が明記されていない食品
  • 賞味期限が1カ月を切っている食品
  • 開封されているもの
  • 生鮮食品(生肉・魚介類・生野菜)
  • アルコール(料理酒は除く)

賞味期限が1カ月を切っている食品や生鮮食品でも、フードバンクによっては寄付を受け付けています。寄付をするフードバンク団体が決まっているなら、フードバンク団体の公式サイトなどを確認するか、直接問い合わせてみましょう。

フードバンクでは保存に強い食品が好まれる傾向にありますが、提供先での栄養バランスを考えると、野菜などの生鮮食品が必要なことも確かです。
冷蔵庫や冷凍庫などの設備が整っていたり、農家や企業との連携によって生鮮食品の取り扱いを可能にしているフードバンクもありますが、まだ多くのフードバンクでは保存しやすい食品のみに限っているのが現状です。

とは言え、受け取る側の福祉施設などではフードバンクから食品を得ることで、生鮮食品の購入に資金を回すことができるため喜ばれています。

ボランティアに参加する

「フードバンクに寄付したいけれど、家に余っている食品がない・・・」そんな方は、ボランティアという形でぜひ時間の寄付を検討してみましょう。
例えば、寄付された食品の運搬や、炊き出しの準備や後片付け、寄付先に送るための荷造りなどなど。フードバンクは多くのボランティアの協力で成り立っています。
あなたのちょっとした協力を待っているフードバンクはたくさんあります。そして、ご褒美に「ありがとう」と言われる喜びを持って帰りましょう。

フードバンクにお金を寄付する

全てのボランティア団体に言えることですが、ボランティア団体には必ずと言っていいほどお金が必要です。
食品を運ぶ車やガソリン代、食品を保管する倉庫、冷蔵庫・冷凍庫などの設備、さらには大きな団体になると職員が働く事務所も必要です。

これらの費用の大半は寄付に頼るしかなく、足が出た分は職員やボランティアの実費負担となっています。より多くの人に食品を提供するために炊き出しや個人宅への食品の配送、子ども食堂なども行えば、さらに費用はかさんできます。
国から助成金が出る場合もありますが充分とは言えず、やはり心ある方からの寄付が頼りになってきます。

フードバンク団体を新設する

「フードバンクを自分でやってみよう!」
そう一念発起された方にエールをこめて、設立方法をご説明します。

フードバンク設立の手順

1.賛同者の募集
一人ではできることが限られてしまうため、まずはフードバンク活動に協力してもらえる個人や団体をさがしましょう。
2.既存団体の視察
すでにフードバンクとして活動している団体に接触してみて、実際の活動のノウハウを学びましょう。
3.活動目的の決定
フードバンクにはたくさんの人々が関わることになります。多くの人々が活動目的に賛同してくれることでフードバンクの活動が成立します。たくさんの協力を得るためにも「何を目的にフードバンク活動をするのか?」「誰をどのように支援するか?」を明確にしましょう。
4.設立総会開催
ある程度賛同者が集まったら、関係者が集まる場を設けましょう。大げさなものでなくてもいいので、関係者が一堂に会して目的の確認や具体的な活動内容を共有することで、フードバンク活動がスムーズにスタートできます。
5.食品の確保
以下のような方法で食品を確保していきましょう。
  • 食品関連企業から寄付してもらう
  • 農家から寄付してもらう
  • 他フードバンク団体からの提供
  • 企業等から防災備蓄品を寄付してもらう
  • フードドライブを実施する
6.倉庫の確保
倉庫を確保するには以下のような方法があります。
  • 所有している物件を使う(自宅でもOK)
  • 倉庫物件を借りる
  • 関係者が所有している物件を借りる
  • 一般企業の倉庫の一部を借りる
  • 空き家を借りる

ちなみに、最初から冷蔵庫や冷凍庫を揃えるのはオススメしません。購入と維持にかかるコスト的な問題に加えて、冷蔵・冷凍食品は管理が難しいからです。
保管時のみならず届ける際にも温度管理が必要になります。まずは保存に強い常温食品から取り扱っていきましょう。

右も左もわからない状態からフードバンクを始める場合には、まずは全国フードバンク推進協議会に相談してみるといいでしょう。
全国フードバンク推進協議会はフードバンクの相談窓口のような組織です。フードバンク団体が抱える課題を共有して共に解決することを目指しており、フードバンクが全国に広まることをミッションに掲げています。
なお、上記のフードバンク設立手順は全国フードバンク推進協議会の情報を参考にしています。

また、セカンドハーベスト・ジャパンが農林水産省から委託を受けてフードバンク運営マニュアルを作成しています。ダウンロードには申し込みが必要ですが、気になる方はぜひ参考にしてみてください。

任意団体とNPOの違い

任意団体というのは分かりやすく言えばサークルのような集まりです。任意団体であっても団体名を名乗って活動することが可能です。
まずはそこからスタートして、必要に応じてNPO法人など法人格の取得を検討していきます。

NPO法人になるにはいくつかの条件がありますが、任意団体よりもNPO法人の方が社会的信用が高いため、寄付を集めやすくなるというメリットがあります。

フードバンクから受け取る

多くのフードバンクでは、食品を児童養護施設や福祉施設などに届けています。福祉施設や団体がフードバンクから食品を受け取りたい場合は、まずはお近くのフードバンクに問い合わせてみましょう。

ここでは情報の少ない「個人がフードバンクから食品を受け取る方法」を紹介したいと思います。

個人がフードバンクを利用するにはどんな申し込み方法で、どんな手順を踏めばいいのか?また、個人がフードバンクを利用するための条件などについても見ていきましょう。

まずは市役所や社会福祉協議会に相談

個人がフードバンク団体から食品を受け取るときには、役所の案内状が必要な場合が多いです。
そのため、フードバンクから食品を受け取りたいと思った場合、最初に相談するのはお住まいの地域にある役所か社会福祉協議会(社協)です。社会福祉協議会とは、福祉に特化した民間団体です。
困っているなら身構えずに、まずは市役所か社協に相談してみましょう。

フードバンクの受取対象者

フードバンクの受取対象者に関する規定や法律は現在のところはありません。
つまり、フードバンクから食品を受け取るための明確な条件はありません。

フードバンクから食品を受け取れるかどうかは、各自治体やフードバンク団体の判断によります。以下の条件のいずれかに該当する方であれば、フードバンクから食品を受け取れる可能性は高いでしょう。

  • ひとり親家庭
  • 生活困窮者
  • 自立支援給付の対象者
  • DV被害者
  • 滞日外国人、難民
  • 若年者、未成年、高齢者
  • ホームレス
  • 生活保護受給者
  • 失業者

上記に該当しない方であっても、フードバンクから食品を受け取れる可能性はあります。
フードバンクの目的は、福祉の対象とならなかった方でも食べ物に困らないようにすることでもあるので、まずは相談することが大切です。

生活保護受給者はフードバンクを利用しても良い?

生活保護を受給していてもフードバンクを利用していも良いかの?という質問は多くあります。それに対する答えとしては、生活保護受給者でもフードバンクから食品を受け取れます

過去に議論されたのは、フードバンクでもらった食品は収入としてみなされるかどうかです。生活保護を受けている人は、収入があれば報告しなくてはいけません。フードバンクの食品が収入に当たるのかどうかの明確な基準がなかったため、生活保護を受けている方はフードバンクを利用しづらい面がありました。

それを受けて、厚生労働省が「子ども食堂において食事の提供を受けた場合やフードバンクから食料の提供を受けた場合、子ども食堂やフードバンクの取り組みの趣旨に鑑み、原則、収入として認定しないこととして差支えない」としました。(2019年4月生活保護手帳 別冊問答集)

フードバンクから受け取る食品は収入としてみなされないので、安心してフードバンクを利用して問題ありません。
ただし、需給したお金を生活保護の趣旨目的に反する用途に使用することで、不要にフードバンクを利用するなど家計管理ができていない場合には指導を受ける可能性があります。

どこで受け取るのか

フードバンクの食品はどこでどのようにして受け取るのでしょうか?フードバンクに集められた食品の受け渡し方法は様々です。個人がどのようにして食品を受け取れるのかを見ていきましょう。

受け渡し拠点

ほとんどのフードバンク団体では、スーパーや役所、福祉施設や教会などと連携して、受け渡しの拠点をいくつか用意しています。

利用者は、あらかじめフードバンク団体や役所、または社会福祉協議会などの機関を通して、食品を希望する旨を伝えておく必要があります。

食品提供が決まったら、決められた日時に拠点にて受け渡しが行われます。
個人がフードバンクから食品を受け取る方法として、最も一般的な方法になります。

イベント会場

集められた食品を配布するイベントを行っているフードバンク団体もあります。

受け取りの条件はイベントによって様々ですが、あらかじめ予約が必要なイベントもあれば、そうでないイベントもあります。

イベントは、フードバンクや食品ロス削減に関する啓発を目的としていることが多くなっています。
そのため、中には経済状況に関係なく食品を受け取れるイベントもあります。

また、炊き出しという形で、集められた食材を調理した状態で配布するイベントを行っているフードバンク団体もあります。

配送

個人がフードバンクから食品を受けとる場合、決まった場所や時間に食品を受け取りに行くのが基本です。
しかし、仕事などの事情で受け取りが難しい場合には、食品の配送を行っているフードバンクもあります。

例えば、セカンドハーベスト・ジャパンやフードバンク仙台では個人宅への配送を行っています。しかし、多くのフードバンク団体は送料の問題から、個人宅への配送を行えないのが現状となっています。

無料スーパー

出典:セカンドハーベスト・ジャパン

スーパーのように商品が陳列してあり、自分で食品を選びながら受けとれるフードバンクのかたちもあります。
東京の浅草橋にある「marugohan(マルゴハン)」は、セカンドハーベスト・ジャパンが運営する無料スーパーです。

まずは、お試しユーザーとしてマルゴハンを体験利用して、そのコンセプトに賛同できる方は、登録手数料500円で入会登録をします。その後3ヶ月間は、1ヶ月に受け取れる食品の総量に上限はあるものの、何回でも利用者のニーズに合わせて、その都度必要なものを選択して受け取ることができます。

セカンドハーベスト・ジャパンでは、マルゴハンの利用者の方々に、感謝の気持ちを社会貢献を通して還元することを推奨しています。

このような無料スーパーは府中や京都でも開催されていましたが、常設で利用できる無料スーパーは今のところ「marugohan(マルゴハン)」のみです。

食品の受け渡し条件や方法などは、フードバンク団体によって違いがあります。まずは、フードバンク団体や役所、 社会福祉協議会に相談してみましょう。

地球のきもち編集部
地球のきもち編集部

相談窓口「よりそいホットライン」

フードバンクによる支援を必要としているけれど、どうすればいいのか分からない…
相談できる相手がいない場合には、一人で悩まずに「よりそいホットライン」に相談してみましょう。

「よりそいホットライン」では生活や食べ物に困っている方だけではなく、あらゆる悩みや困りごとの相談にのってくれます。
電話だけでなくSNSやチャット、FAXによる相談も受け付けています。

よりそいホットライン
0120-279-338 (岩手・宮城・福島県の方は0120-279-226) 24時間 365日

企業によるフードバンク活動

フードバンク団体は、企業による寄付や支援によっても支えられています。また、企業がフードバンクとして活動しているケースもあり、日本のフードバンクの発展にも大きく貢献しています。

2020年内には、農林水産省がフードバンクを強化するにあたり、食品メーカーや小売店などに余った食品の情報を入力してもらい、フードバンク団体や福祉施設に仲介するシステムを構築することになっています。
このような動きもあり、今後はさらに多くの企業がフードバンク活動に参加することが期待されています。

ここからは、フードバンクがまだ認知度の低い頃から支援・活動してきた3つの企業を紹介したいと思います。

コープ東北フードバンク

地域密着型のスーパーマーケット「コープ」。生活者の声がすぐに形になる組織なので、それぞれの地域にあったサービスが提供されているのが特徴でしょう。

筆者の田舎では、移動が大変な高齢者を週に一回、バスでコープまで送り迎えしてくれるサービスが実施されています。これには筆者の両親もとても助けられており感謝しています。軽い運動にもなっている上に、バスの中ではちょっとしたコミュニティーもできて喜ばれています。

最初にフードバンクに参加したのは2012年、みやぎ生協です。コープ東北フードバンクの他企業との違いは、フードバンク団体を支援しているのではなく、コープ東北自体がフードバンクを運営していることでしす。
コープ東北自らが食品ロスを解消するために食品を集め、必要な施設や団体に届けています。

地域を回って商品を届ける販売ノウハウを持っていたコープ。そのノウハウを活かして、施設に食品を届ける活動を行っています。全国各地の生協にもその流れが伝わり、それぞれの形でフードバンクに参加しています。

コストコホールセールジャパン

コストコがフードバンクへの支援をはじめた時期ははっきりとは分かりませんが、少なくとも2005年にはフードバンクへ食品の寄贈を行っています。2005年3月27日付の朝日新聞大阪版朝刊には、フードバンク関西で現在理事長を務める浅葉めぐみさんが、コストコへ食品を受け取りに行った際の記事が掲載されています。

「何ともったいない。これ、今までは廃棄されていたの?」。ボランティアとして初めて大型スーパーの裏口に食品を引き取りに行った時の率直な感想です。おいしそうなパンや野菜、果物などが、大きなカートに積まれていました。

出典:【2005年3月27日付】朝日新聞大阪版朝刊 オピニオン(声)欄「各地に広がれ、フードバンク もったいない」

また、2007年8月1日付の読売新聞東京版夕刊にも、コストコがフードバンク関西に寄付しているという内容が掲載されていました。

フードバンク関西では毎朝、会員制スーパー「コストコホールセールジャパン」から賞味期限内の食料品を引き取っている。パンや野菜はその日のうちに施設や団体に配る。配りきれない分は、温度管理された貯蔵庫に置き、なるべく早く届ける。「やむを得ず出た余剰品を寄付している。役に立つのであれば協力したい」と同スーパー(兵庫県尼崎市で)

出典:【2007年8月1日付】読売新聞東京版夕刊「ズームアップWEEKLY」広がる「フードバンク」よみがえる善意の食材

コストコはホームページなどでフードバンクへの支援を積極的にアピールしていませんが、2017年にもセカンドハーベスト・ジャパンの取材の中で取り上げられていたり、長い間貢献してきたことがうかがわれます。

西友

西友では2009年からフードバンクへの食品提供をスタートしています。当初は3店舗でしたが、徐々に参加店舗を増やし、現在は関東140店舗にて食品を寄付しています。

西友では、各店舗に食品を配送してから物流センターに帰るトラックの戻り便を活用し、複数の店舗の寄付食品を物流センターに一括集約しています。西友の各店舗から定期的に集荷された食品は、物流センターで一括してフードバンクへ引き渡されます。
フードバンク職員が各店舗へ集荷へ行く必要がないため、フードバンクの負担を大きく減らし、回収効率を上げることに成功しています。

また取引先のJA甘楽富岡と協力して、規格外になった野菜もフードバンクに提供しています。規格外野菜とは、市場へ卸すシーズンから外れてしまったり、サイズが所定の規格に合わなかったりすることで、産地で廃棄されることが多い野菜のことです。
野菜の寄付は栄養バランスの点からとてもありがたい寄付として、受け取り施設からも喜ばれています。

また、野菜のような生鮮食品は鮮度の問題もあり企業の協力なしには取り扱いが難しい食品です。西友では規格外野菜を通常商品と同じ物流網に載せることで、鮮度を保ったまま寄付することを可能にしています。

さらに、店頭ではフードバンク募金を実施するなどして、フードバンク活動の支援の輪を広げることにも貢献しています。

フードバンクの課題とデメリット

国内のフードバンク団体は100を超え、少しづつ社会にも認知されるようになってきました。2018年度の農林水産省の調べによると、国内のフードバンク団体の食品取扱量は約2,850トン(農林水産省のアンケートに回答した76団体の合計)、2016年と比較すると食品取扱量は約1,000トン増加しました。

出典:農林水産省

フードバンク団体が食品ロスという日本の大きな問題に貢献したことは間違いのないことですが、まだまだ十分とは言えません。

まだ食べられるのに廃棄される食品が減って、食品を求めている人の手にわたる。みんなが笑顔になる活動がフードバンクです。

それならより多くの企業が参加して、もっと多くの食品ロスを減らし、もっと多くの子どもたちや困っている人たちを助けられたら。
しかし、それほど簡単なことではないようです。
ここからは、フードバンクが抱えている課題を見ていきましょう。

資金難

事務所や食品を保管する倉庫、運搬費用など、団体の大小に関わらずほとんどのフードバンクに必要になるのが資金です。ランニングコストを捻出できず、寄付でも集めきれずに活動を断念していくフードバンクも多くあります。

支援者によって支えられたり、助成金をうまく活用できているフードバンクもありますが、自己資金で運営していたり、安定性のない寄付金を資金源としているフードバンクもまだまだ多くあります。

「1年先を見通せるフードバンクはほとんどない」というのは、フードバンク関係者のリアルな声です。
国や自治体からの助成金もありますが、充分とは言えないのが現状です。

認知度不足

各フードバンク団体の取り組みにより、フードバンクは年々認知度を上げてきました。しかし、まだまだ食品ロスや貧困問題に無関心な人は多く、企業などにも周知されているとは言い難い状況です。

フードバンクは、企業にとっては廃棄コストの削減につながり、生活に困窮している人々にとっては食品を得る手段となり、また環境面では食品ロスが減ることでCO2削減にも繋がる、メリットの多い活動です。

より多くの人にフードバンクを知ってもらうことで、より多くの無駄をなくし、より多くの人を救えるようになります。日本のフードバンクは、現時点においてはまだまだ認知度が低いと言えます。

食品寄贈に伴うリスク

フードバンクにおいては、食品を寄贈する側がリスクを追うことも否めません。
寄贈した食品がフードバンクにより適正な方法で保管されているかは、寄贈した側にとっても大きな問題です。また、食品提供先でのアレルギーの管理なども必要になってくるでしょう。

仮に、事故が起こった時には誰が責任を取るのか?責任の追及は無くとも企業イメージを損なうリスクもあります。
国内では、食品提供者との契約や取り決めをしていないフードバンク団体が少なくとも1割あるとの報告もあります。

一方で、フードバンク先進国であるアメリカでは、フードバンクで意図せぬ不慮の事故が起こった際、企業が責任を問われないという法律が制定されています。また、商品転売の可能性なども否定はできないため、早急な法の整備が必要とも言えるでしょう。

自治体との連携不足

フードバンクを利用する人にとっては、自治体が窓口となることも多くあります。
また、フードバンク団体が安定的に運営していくためには、助成金や補助金など自治体の協力が必要不可欠になってきます。

しかし、自治体とフードバンク団体との連携はまだまだ十分とは言えません。フードバンクがボランティアの枠を超えて、地域全体として取り組めるようになるためには、自治体との密な連携が必要となってきますが、その点においてもまだまだ課題が残ります。

日本の食品ロスの現状

廃棄された恵方巻

フードバンクという活動を知るにあたっては、日本の食品ロスの現状を語らないことには深い理解は得られないでしょう。
冒頭に書いたように、日本では年間612万トンの食べられる食品がゴミとして捨てられています。

2019年に農林水産省が発表した資料によると、日本国民一人当たりの年間の食品廃棄物量は世界第6位、アジアではワースト1位です。(2018年度の数値で比較)
そのうち55%が事業系で、残りの45%が家庭から出た食品ロスとなっています。

食品廃棄物等 食品ロス
事業系 家庭系 合計 事業系 家庭系 合計
2017 1,767万㌧ 783万㌧ 2,550万㌧ 328万㌧ 284万㌧ 612万㌧
2016 1,970万㌧ 789万㌧ 2,759万㌧ 352万㌧ 291万㌧ 643万㌧
2015 2,010万㌧ 832万㌧ 2,842万㌧ 357万㌧ 289万㌧ 646万㌧
2014 1,953万㌧ 822万㌧ 2,775万㌧ 339万㌧ 282万㌧ 621万㌧
2013 1,927万㌧ 870万㌧ 2,797万㌧ 330万㌧ 302万㌧ 632万㌧
2012 1,916万㌧ 885万㌧ 2,801万㌧ 331万㌧ 312万㌧ 642万㌧

環境省「我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値(平成29年度)の公表について」より

日本の食品ロスが多い原因は多々考えられますが、よく取り上げられている問題の中に「3分の1ルール」というものがあります。

3分の1ルールとは?
食品の卸業者は、スーパーなどの小売り業者に、賞味期限の「3分の1」の期限内に納品しなくてはならない。賞味期間が6カ月の商品を例にあげると、卸業者は製造日から数えて賞味期間の「3分の1」にあたる2カ月以内にスーパーなどの小売店に納品しなければならない。

納品が遅れた商品は店頭には並ばず、卸業者からメーカーに返品されたり廃棄されたりします。食品メーカーによっては、ディスカウントショップに卸すこともあるようです。

「3分の1ルール」は、賞味期限切れの商品が店頭に並ばないためのルールとして1990年代に始まりました。賞味期限の「3分の1」というのは、世界的に見てもとても短い期間で、これにより食の安全は確保されている一方で、食品ロスが増えている理由と言われています。

衛生管理が徹底されてきた日本。私達が普段から品質を疑うことなく食品を購入できるのは、日本の食品に対する基準がとても厳しいからです。
しかし、世界から見ても食品ロスが多いというのは問題です。これを受けて3分の1ルールは現在、緩和の流れにあります。

世界のフードバンクの歴史

日本でも少しずつ知名度が上がってきたフードバンク。それでも世界的に見ると、まだまだ浸透しているとは言い難いようです。世界で一番最初にフードバンクの活動が行われたのはアメリカで、50年以上もの歴史があります。

日本で最初にフードバンクの団体ができたのは2002年。地道な活動と努力により、2011年頃からフードバンクの団体が急増し、全国に広がっています。

日本のフードバンクと海外のフードバンクには、少し問題意識に対する違いがあるようです。海外では貧困に対する問題意識が強く、一方の日本では貧困問題に加えて”もったいない”の精神が強いということ。日本人の国民性とも言えるでしょう。

アメリカのフードバンクの歴史

アメリカはフードバンクの先駆けといわれおり、日本より33年も早い1967年に、アリゾナ州でフードバンクがスタートしています。寄付文化が根付いているアメリカでは、企業が積極的に社会貢献を行っており、社会もそれを高く評価する風土があります。そのため、常に一定量の食品寄贈や寄付金があることがフードバンクを支えています。
アメリカは日本と違って飢餓に対する問題意識が強く、食べることができる環境をつくり、飢餓をなくすという視点で動いています。

フランスのフードバンクの歴史

Restos du cœurの開始当初の様子

EU諸国には社会問題への取り組みが積極的な国が多くありますが、フランスはEU諸国の中でも非常にフードバンクが盛んな国です。中でも、1985年から続くLes Restos du Coeur(心のレストラン)は、失業者や低収入の家族などに無料で食料を提供する慈善活動として非常に有名です。

日本のフードバンクの歴史

2000年1月、炊き出しのために食材を集める連帯活動が行われました。これが日本で最初にフードバンク活動を行った団体で、後に「セカンドハーベスト・ジャパン」へと名称を変更しました。

また、関西でも2003年4月に「フードバンク関西」が発足され、フードバンクの活動が少しづつ知れ渡るようになりました。現在では北海道から沖縄までたくさんの団体によりフードバンク活動が行われています。

最後に

フードバンクは今の日本社会にとってとても重要な活動です。素敵な団体や企業が日本にはたくさんあるということを、一人でも多くの人に知ってもらいたいと思います。
フードバンクの活動を知った今日から私達にできること。それぞれのかたちで、一歩踏み出してみましょう。

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