化粧品の正しい捨て方|化粧水やマスカラ、マニキュアなど化粧品別に解説

最近の化粧品は容器のデザインに手の込んだものが多いのですよね。可愛いからついつい不要なものまで買ってしまい処分に困ってしまう…なんてこともあるのではないでしょうか。
容器やパッケージのデザインに手が込んでいる分、捨てるときに困った経験をした方も多いことでしょう。
ここでは、迷いがちな化粧品の分別や捨て方について商品別に解説していきます。未使用の化粧品や、化粧品の容器の分別方法についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
化粧品の捨て方の決まり
化粧品には様々な素材が使われていて、捨てる際には分別が難しく感じますが、化粧品を捨てる際の大原則を知ると、実はそれほど難しいものではありません。
化粧水であってもマスカラやリップであっても、化粧品を捨てる際の大原則は以下のように共通しています。
- 残っている中身は燃えるごみ
- 容器は識別表示&地域のルールに従う
- 分離できない容器は最も使われている素材を基に分別
- 汚れが取れない容器は資源ごみにしない
残っている中身は燃えるごみ
化粧品の中身を捨てる場合は、液体であっても固形であっても全て燃えるごみとして捨てます。
液体やクリーム状の化粧品を燃えるごみとして捨てる際には、紙や布などに吸わせて液体が漏れないようにして捨てます。ビニール袋や牛乳パックなど、不要な物の中に紙や布を敷き詰めて、化粧品の中身を流し込みましょう。

液体が漏れないようにしっかりと封をして「燃えるごみ」として捨てます。
化粧水のようにサラサラした液体で量が多い場合は、紙では吸収しきれないことがあるので、生理用ナプキンやおむつ、ペットシーツなどに吸わせると良いでしょう。
化粧水や美容液、シャンプーなどは洗面所に流してしまう方も多いようですが、化粧品を原液のまま洗面所に流すと水質汚染につながります。どんな化粧品であっても洗面所には流さず、必ず燃えるごみとして捨てるようにしましょう。
洗面所はダメでもトイレならOK!と思いがちですが、トイレに流すのは洗面所に流すのと同じこと。やはり水質汚染につながります。

容器は識別表示&地域のルールに従う

化粧品の容器や外箱には、プラマークなどリサイクルの識別表示マークがついていることがあります。
リサイクル識別表示マークがついている容器に関しては、表示と地域のルールに従って分別します。
容器本体はリサイクル対象でなくても、キャップだけがリサイクル対象となっている場合もあります。化粧品の容器を捨てる際には、まずは識別表示マークを探してみましょう。
分離できない容器は最も使われている素材を基に分別

化粧品の容器は保存目的や使いやすさ、またデザインとして色々な素材が使われています。
プラスチックだけど一部に金属が使われていたり、ぱっと見た印象ではアルミのようにも見えるけどプラスチック素材だったり、最近ではデザインに木をあしらった化粧品容器などもあります。
化粧品の容器に部分的に使用されている金属などは、取り除く必要があるのか気になるところですよね。

化粧品の容器に限らず、分離できない複合素材のごみについては、一番多く使われている素材を元に分別すると決められています。環境省のホームページにおいても、「重量ベースでもっとも主要なものに分類する」との記載があります。
ごみは回収された後、人の手や機械によって再度分別されています。プラスチックと金属などの複合素材は、機械で粉々にした後にさらに分別されています。
しかし、量が多いとたくさんの人手が必要になったり、掃除のために機械を止める必要があり、多くの税金とエネルギーが無駄になります。家庭でできるかぎりの分別を行うことで、税金やエネルギーの節約につながっています。
複合素材は分離するのがベストですが、難しいようであれば一番多く使われている素材を元に分別します。
汚れが取れない容器は資源ごみにしない
資源ごみにはプラスチックやペットボトル、紙類、缶びんなどがあります。この中でも化粧品の容器に使われることが多いのはプラスチックとペットボトル、そして瓶です。
資源ごみは新たな商品として生まれ変わるため、リサイクルしやすいようにある程度汚れを落としておくのが基本的なルールです。資源ごみをリサイクルしている地域にお住まいであれば、化粧品の底面や外箱などにある識別表示マークに従って、ある程度汚れを落としてから捨てるようにしましょう。
汚れが落ちていない資源ごみはリサイクルできないだけでなく、他の綺麗な資源ごみまで汚してしまう可能性があります。
ただし、化粧品の中には容器の形状的にきれいにできないものもあります。
また、中身が大量に残っている場合、綺麗にするために大量の新聞紙などを使うようであれば、新聞紙を紙資源として残した方が良い場合もあります。
化粧品の資源ごみをきれいにするのが難しいようであれば、プラスチックごみやペットボトル、びん資源として捨てるのではなく、燃えるごみや不燃ごみとしてる方が良い場合もあります。
考え方としては、どちらの方がよりきれいな状態の資源を多く残せるのかがポイントです。
化粧品別に解説!正しい捨て方
化粧品とは一言で言っても、化粧水やマスカラ、アイシャドウ、マニキュアなど、見た目も原料も様々です。
ここからは各種化粧品をピックアップ!それぞれの化粧品の捨て方を見ていきましょう。
基礎化粧品
基礎化粧品には、以下のようなものが該当します。- 化粧水
- クレンジング
- 乳液
- 美容液
- 化粧下地
- ボディクリーム
- ハンドクリーム
- 日焼け止め
リキッド系

まずは基礎化粧品の中でも、リキッドタイプの化粧品について見ていきます。化粧水や美容液のようにサラサラした液体の基礎化粧品は、中身を空にして捨てるのが基本です。
化粧品は色々な原料から作られていますが、ごみとして捨てる際に化粧品の原料を確認する必要はありません。化粧品の中身は全て燃えるごみです。
化粧品の中身と容器は分別して捨てるのが望ましいので、できる限り残っている中身は取り除きましょう。
オイル・クリーム・エマルジョン・ジェル

オイルクレンジングや乳液、クリーム、ジェルなど粘りがある基礎化粧品は、新聞を詰めたビニール袋の上に容器を逆さまにて半日ほど放置しておくと、きれいに中身を取り出すことができます。
最後は少量の水を容器に入れて、振って中を軽く洗っておきましょう。
容器がチューブの場合は、容器を半分に切って中身を取り出すと早くて簡単です。
クレンジングなどは使用すると排水として流れるものですが、洗面所にそのまま流すと環境に大きな負荷がかかります。ごみとして捨てる場合は洗面所には流さず燃えるごみとして捨てましょう。
残り量が少なくなったら、容器を逆さにした状態で毎日使うようにすれば、最後まできれいに使い切れてごみ捨ても楽ですね。

基礎化粧品の容器の捨て方
基礎化粧品の容器は色々な素材で作られているので、中身とは違って分別方法も様々です。基礎化粧品の容器の捨て方を2つのタイプから見ていきましょう。
プラスチック容器

基礎化粧品のボトルやチューブ、詰め替え用パウチにはプラマークが付いていることが多いです。プラマークが付いている容器はプラスチック資源ごみとして分別しましょう。
プラスチック素材でもプラマークが無いものや、プラマークがあっても汚れがひどい容器は燃えるごみとして分別します。
また、忘れがちですがキャップは容器と分けて分別します。容器本体は燃えるごみや不燃ごみでも、キャップにだけプラマークがついていることもあるので要注意です。
ビン・ガラス容器

ビンやガラスでできた化粧品の容器は資源ごみに間違われることが多いですが、ほとんどのビン容器は不燃ごみとして捨てます。
化粧品に使用されるビンは、耐熱性や乳白色の素材がほとんどで、装飾するために異物が混ぜてある場合もあります。これを飲み物に使われるソーダ石灰素材のビンと一緒にすると、リサイクルすることが技術的に難しくなります。
しかし、最近では化粧品会社が容器の資源化に取り組んでいることもあり、リサイクルできる化粧品のビンも増えてきています。それを受けて、不燃ごみを減らす取り組みとして化粧品のビンを資源ごみとして回収している地域も増えてきています。
化粧品のビンの捨て方については、お住まいの自治体に分別方法を確認するのが良いでしょう。
不燃ごみは埋め立て処理されるのでたくさんの土地が必要になります。不燃ごみは自然には還らない最終処分の手段とされているので、できるだけ不燃ごみを減らす努力が必要ですね。

ファンデーション

基礎化粧品の捨て方の次は、テクスチャーが色々あって迷いやすいファンデーションの捨て方について見ていきます。
季節によって使い分けたり、トレンドのファンデーションを試してみたりと、ゴミ箱行きになるファンデーションも少なくはないでしょう。
使いかけのファンデーションが残っている場合には分別が必要です。
粉末タイプのファンデーションは、つまようじなど先が尖ったものでひび割れを作るようにして中身を取り出します。油分が多い固形タイプの場合は、スプーンの柄などを使ってかき出します。
リキッドファンデーションは容器に少量の水を入れて軽く水洗いします。
汚水は水道に流すと水質汚染につながるので、紙や布に染み込ませて燃えるごみとして捨てます。
汚れが落ちにくい場合はクレンジングや除光液を入れて軽く振ると簡単に落とすことができます。
ファンデーション容器の捨て方
ファンデーション容器には鏡がついていたり、金属の装飾がついていたりと分別に悩む方も多いでしょう。しかし鏡を容器から取り外したり、金属部分を取り外す必要はありません。
分離できない容器は、最も使われている素材を基に分別します。
パクトケースにはプラスチックを使ったものが多く、それらの多くにはプラマークが付いています。プラマークがついたパクトケースはプラスチックごみとして捨てましょう。鏡や金属などはそのまま一緒に捨ててしまってOKです。
チューブ容器に入ったファンデーションもコンパクトと同じく、プラマークの有無で分別を判断します。チューブはハサミで簡単に切れるので、プラスチック資源として捨てる際は、ハサミで切って中をティッシュなどで拭き取ってから捨てましょう。
リキッドファンデーションのビン容器は、中をきれいにしてから不燃ごみorビンの資源ごみとして捨てます。
不燃ごみは中をきれいにする必要がないと思われている方も多いですが、ファンデーションの化学物質が土壌汚染につながる可能性があります。不燃ごみとして捨てる場合も、残っているファンデーションはきれいに取り除きましょう。
アイシャドウ

アイシャドウもファンデーションのパクトケースと同様に、つまようじなど先が尖ったものでひび割れを作るようにして中身を取り出します。パウダー部分は紙に包んで燃えるごみに分別しましょう。
油分が多くて粘りのあるアイシャドウは、スプーンの柄などを使ってかき出しましょう。
アイシャドウの容器の捨て方
アイシャドウのパレット部分は、プラマークが付いていたらプラスチックごみとして捨てます。パウダーの皿部分に金属などが使われていても、プラマークに従ってそのままプラスチックごみとして捨ててOKです。
プラスチック素材でもプラマークが付いていない容器については燃えるごみとして捨てます。
リップ

口紅やリップクリームも捨て方に迷う代表的なコスメアイテムでしょう。
口紅やリップクリームは容器が複合素材になっていることと、中身を使い切れない上に取り出しにくいことから捨てる際に悩みがちです。
口紅やリップクリームは容器が燃えるごみでない限りは、残っている本体を取り出す必要があります。綿棒などを使ってできる限り中身をきれいに取り除き、中身は燃えるごみとして捨てましょう。
リップ容器の捨て方
多くの口紅やリップクリームは、箱に識別表示マークがついているのでそちらを参考にします。口紅やリップクリームにはプラマークがついていることが多く、その場合はプラスチックごみとして捨てます。
容器の一部に金属などが使われているリップクリームもありますが、簡単に分解できないものであればそのままプラスチックごみとして捨てます。
また、外見は金属に見えるけれどプラマークが付いているリップもたくさんあります。化粧品の素材はややこしいので、ぱっと見た感じで判断せずに必ず表記を確認しましょう。
表記が全くない口紅やリップクリームについては、プラスチック系なら燃えるごみ、金属系は不燃ごみとして捨てましょう。
マスカラ・アイライン

マスカラやアイラインなど、ブラシやハケが付属している化粧品はどのようにして捨てれば良いのでしょうか?
プラスチック容器のマスカラやアイラインは、容器か箱にプラマークが付いていることが多いです。
プラマークのあるマスカラやアイラインは、中を軽く洗ってからプラスチックごみとして捨てます。ブラシやハケ部分が気になるところですが、取れない場合はそのまま捨ててしまってOKです。
中身が大量に残っている場合や、汚れをきれいに落とせない物については燃えるごみとして捨てましょう。
マスカラやアイラインの容器が金属の場合は不燃ごみ、この場合もできる限り中をきれいにしてから捨てるのが基本です。
マニキュア

化粧品の中でも最後まで使い切ることなく残りがちなマニキュアやペディキュア。気分によって色やデザインも変わるので、どうしても中身が残りがちですよね。
マニキュアの捨て方は自治体によってかなり違いますが、多くの自治体では不燃ごみもしくは燃えるごみとして回収しています。
また、自治体によってはマニキュア容器をビンとして回収している地域もあります。
ただし、ビンを資源ごみとしてリサイクルするためには、ビンをきれいに洗っておく必要があります。マニキュアのビンはとても小さく、中を完全にきれいにするのが難しいことから、ビンとして回収している自治体は多くはありません。
以上の理由から多くの自治体ではマニキュアを「不燃ごみ」もしくは「燃えるごみ」として分別しますが、不燃ごみとして捨てる場合は必ず残っているマニキュアを出し切っておく必要があります。
不燃ごみは埋め立て処理されるため、中にマニキュアが残っていると土壌汚染につながる可能性があります。
中に残っているマニキュアは新聞紙や布の上に流し、燃えるごみとして捨てましょう。マニキュアが固まっている場合は、除光液や薄め液を入れて軽く振ると流れ出やすくなります。最後は綿棒で軽く拭き取っておくと良いでしょう。
ただし、マニキュアがガチガチに固まってどうにもならない場合はそのまま不燃ごみとして分別します。
マニキュアを燃えるごみとして分別している地域であれば、中身も容器も同じ分別になるのでそのまま捨てることができます。

マニキュア容器はなぜ燃えるごみ?
マニキュアのビンを燃えるごみとして分別している地域も多くあります。
マニキュアのビンは一般的にはかなり小さいので、焼却炉を詰まらせることなく処理できます。
燃えるごみは焼却された後、焼却炉に残った灰は埋め立て処理されます。焼却炉を詰まらせることなく、最終的には不燃ごみと同じく埋め立て処理されることから、どちらに分別するかはある程度自治体の判断にゆだねられています。
ネイルチップの捨て方
ネイルチップの多くは合成樹脂でできています。プラスチックごみとして捨てられていることもありますが、合成樹脂の正しい分別は燃えるごみです。
一部に金属が使われているネイルチップも燃えるごみになりますが、主な素材が金属でできているネイルチップは不燃ごみになります。
シャンプー・トリートメント

シャンプーやトリートメント、コンディショナー、リンスなどを捨てる時は、残っている中身は紙や布などに吸わせて燃えるごみとして分別します。
お風呂や洗面所に流してしまう方もいますが、シャンプーやトリートメントをそのまま流すと水質汚染につながるので厳禁です。
また、未開封のものや大量に中身が残っているシャンプーなどを捨てる際は、そのまま容器ごと燃えるごみとして捨ててもOKです。
大量のシャンプーを捨てるために新聞紙などの紙資源をたくさん使うようであれば、プラスチック資源のボトルよりも紙資源を残そうという考えです。
シャンプー容器の捨て方
シャンプーやトリートメント、コンディショナー、リンスは、ボトル容器をはじめチューブや詰め替え用のパウチにもプラマークが付いていることが多いです。
使い切った使用済みの容器は、中を軽く洗ってプラスチックごみとして捨てます。
ただし、インテリア雑貨店などで購入したシャンプーボトルはプラスチックごみには分別しません。
購入したボトルがプラスチック製なら燃えるごみ、ガラスやビンなら不燃ごみとして捨てましょう。
最近は詰め替え用をクリップで吊るして使う人も増えています。口が下に向くので最後まで綺麗に使い切ることができます。

香水・コロン

香水を捨てる際にも、他の化粧品同様に残っている香水は燃えるごみとして捨てる必要があります。香水の容器は中身を出しにくいものが多いですが、可能な限り残っている香水は紙や布などに吸わせて燃えるごみとして分別しましょう。
香水には油分も多く含まれているので、洗面所やトイレに流すと水質汚染につながります。
香水の容器の捨て方
香水の容器にはビンが使われていることが多いので、不燃ごみor資源ごみ(ビン)として分別します。
プラスチック容器の場合は、プラマークがついていたらプラスチックごみ、プラマークがないもについては燃えるごみとして分別します。
ただし、香水の容器は匂いが強いため、プラスチック資源として再利用するかしなかいは自治体の考えにもよります。プラマークが付いている場合であっても、香水やコロンの容器は一度自治体に確認してみるのが賢明です。
未開封の化粧品の捨て方
化粧品はプレゼントでもらったり、買ったけれど使うのを忘れていたりと、未開封のまま捨てることもあるかもしれません。未使用の化粧品は人にあげるなどして捨てるのはできれば避けたいものですが、どうしても捨てざるを得ない時もあるかもしれません。
未開封や未使用の化粧品を捨てる際は、まずは容器の捨て方をチェックすることから始めましょう。
容器が燃えるごみに該当する場合は、未開封のまま燃えるごみとして捨てます。
容器にプラマークがある場合は、基本的には中身は燃えるごみ、容器はプラスチックごみに分別します。
容器がビンや金属類の場合は、開封して中身は燃えるごみ、容器はビン資源or不燃ごみに分別しましょう。
ただし、粘度が高い化粧品などで、容器を洗うために大量の水や紙などの資源を消費するようなら、容器ごと燃えるごみや不燃ごみとして捨てる方がECOです。
未開封の化粧品を捨てる時は、基本的には開封して中身と容器を分別すると覚えておきましょう。

まとめ
化粧品の容器には色々な素材が使われているので分別が難しく感じますが、基本的には素材別に分別して捨てます。分離できない部分はそのまま捨てることができますが、その際の分別の基準となるのは最も多く使われている素材は何かということです。
また、残っている中身はどんな化粧品であっても燃えるごみとして捨てます。
化粧品は地域によって分別のルールが違うことも多いので、迷ったらお住まいの自治体に確認してみましょう。