セカンドハーベスト沖縄でボランティア体験!フードバンクのお仕事をレポート

「もったいない」を必要な人に届ける「フードバンク」という活動をご存じですか?フードバンクとは、企業や家庭で余った食品を必要な人たちに届けることで、「食品ロスの問題」と「生活困窮者の食事事情」いう二つの社会問題を解決する糸口として、今最も注目を浴びている社会活動です。
フードバンク活動とは誰がどのようにして行っているのか?フードバンクの実態を知るために、今回はフードバンクセカンドハーベスト沖縄にお邪魔しました。
こんにちわ!「地球のきもち」編集部の竹内です!今日はわたしが実際に体験したフードバンクのお仕事をレポートします。

フードバンクセカンドハーベスト沖縄は、代表の奥平智子さんが2007年に任意団体として設立し、2010年にNPO法人として法人格を所得しました。常勤職員4名、ボランティアスタッフ10名弱で、年間50.7トンの食品を2万2千人に届けています(2017年9月~2018年8月実績)。
セカンドハーベスト沖縄に寄贈された食品は、主に食品を必要とする福祉施設に届けられています。個人世帯へは、沖縄県労働者福祉基金協会(以下、労福協と記載)が行っている困窮者自立支援事業として、月に一度食品が配られています。
セカンドハーベスト沖縄は、フードバンクの活動がまだ世間に広く認知されていない2010年から活動を続けているフードバンクの草分け的な団体の一つです。
食品をただ届けるだけではなく、生活支援や教育支援など、生活困窮者の自立支援を目指す団体と様々なコラボイベントを積極的に行っています。誠実で明るいセカンドハーベスト沖縄の活動をレポートします。
セカンドハーベスト沖縄に到着
今回私たちがボランティア体験をさせて頂いたセカンドハーベスト沖縄は、那覇市内に事務所兼食品倉庫を構えています。大通り沿いにあるので分かりやすく、ホームページを参考にしながら到着しました。
セカンドハーベスト沖縄には事務所と倉庫が一部屋づつあり、最初の感想としては想像していたよりも広いと感じました。と言うのも、失礼な話ですが「ボランティア団体の事務所」と考えていたので、個人宅の一室のような雰囲気をイメージしていたからです。
倉庫には冷蔵庫が1台、冷凍庫が2台、食品の並ぶ大きな棚が2台、空いているスペースには企業から寄付された食品が詰まった段ボールがぎっしりと積み上げられています。
今回フードバンクのボランティアに参加するにあたって、不器用かつちょっとドジな私は恐れていたことがあります。それは、食品を扱う仕事なので色々決まりが多くて付いていけないんじゃないか?と言うことと、「遊びじゃないんですよ!!!」的な怖い職員さんがいたらどうしようということでした。
ところが職員さんたちと挨拶を終えたころには、そんな不安は吹き飛んでいました。沖縄らしさなのか?セカンドハーベスト沖縄の雰囲気なのか?とにかく温かくて明るい雰囲気で、とても居心地の良い環境でした。
今日一緒に作業をするのは全員で9名。常勤職員さんに加え、沖縄県労福協さん、ボランティアさん、そして私たち「地球のきもち」編集部の2名です。毎週月曜日は仕事量が多く人手が足りないため、フードバンクの食品受取窓口の一つである「労福協」の職員さんが、箱詰めのサポートに来てくれているそうです。
フードバンクのお仕事体験1日の流れ
みなさんとご挨拶を終えた後、今日の一日の流れと作業の説明をして頂きました。
セカンドハーベスト沖縄の毎週月曜日のお仕事は、寄付された食品を各団体や個人世帯向けに仕分け、箱詰めをする日です。
- 企業や個人から食品寄付の受けとり
- 集められた食品寄付の仕分け&箱詰め
お昼休憩
寄付先の施設や団体へ食品の引き渡し
一通り作業の説明を受けて、いよいよ作業スタート!!
食品寄付の受け取り

セカンドハーベスト沖縄の月曜日は、「食品の受け取り」と「仕分け」から始まります。食品は前日までに届けられた物と、当日に送られてくるものがあります。
企業がトラックで運んでくれることもあれば、職員さんが企業の倉庫や店舗まで取りに行くケースもあったりと、寄付をする製造・販売企業や小売店などによって様々です。
すでに集まっている食品の仕分け作業をしながら、同時に食品の受取対応もします。
企業から頂く段ボールケースの数は日によって違うようですが、この日は見る限りでは100箱前後あったように思います。箱の中身はお菓子やインスタントラーメンが多かったです。
企業から運び込まれた食品は、本来ならまだ食べられるのに廃棄処分されていた食品です。一日の作業でこれだけ多くの食品を引き受け、必要とする人へと届けるフードバンク活動。積み上げられたポテトチップスが入った箱の山を目の当たりにして、社会にとってとても有意義な活動であることを実感しました。
食品の仕分け

寄贈食品の搬入作業の合間に、福祉施設や個人宅へ食品を配布する準備を行います。セカンドハーベスト沖縄では個人宅への直接配布は行っていませんが、今回一緒にお仕事をした労福協が困窮者自立支援事業として個人宅へ届けています。
個人宅への食品配布は毎月1回1ケース。もちろんそれだけで充分に満たされれる量ではありませんが、あるのとないのとでは大違いです。
作業台には空箱が用意されており、そこには「施設または窓口名、世帯数、人数」など必要事項が記入されています。私達ボランティアの仕事はこの箱に食品を詰めていくことです。

この日までに集められた食品は、あらかじめ飲料や調味料、缶詰などのカテゴリー分けをされて棚に保管してあります。
全カテゴリーの食品がバランスよく箱詰めされるように、品目と個数が別表に常勤職員さんによりまとめられており、それを元に私たちボランティアがどう動けばいいのかを計画し、作業していきます。
この日は37世帯94名の方に食品が届けられました。
私たち「地球のきもち」編集部は、担当する品目を決められた数だけ箱に詰めていきます。
私は缶ジュースを担当しましたが、その他にも調味料・缶づめ・お菓子・インスタント食品などなど、色んな種類の食品がどんどん箱に入っていきます。
作業前はただの空箱だったのが、みるみるうちに色んな種類の食品でいっぱいになっていきます。箱がいっぱいになるに連れて、捨てられていたはずの食品が棚からどんどん減っていくのは何とも気持ちの良いものでした。
ところで、先にお伝えした通り不器用すぎる私は、食品を取り扱うフードバンクのボランティアが少し不安でした。
決まりごとを覚えられず作業に付いていけないんじゃないか?ということや、とんでもない失敗をやらかしてご迷惑をおかけするんじゃないか?という不安です。
ところが、私のような新しいボランティアスタッフが入っても間違いが起こらないように、セカンドハーベスト沖縄ではしっかりとシステム化されていました。賞味期限が短い食品から箱詰めされるように配置も考えられており、わたしたちボランティアスタッフは小難しいことを考える必要は一切ありません。
何がOKで、何がダメか。システム化されていると働く方も簡単ですし、受け入れる方もきっと安心して任せられますね。
セカンドハーベスト沖縄は食品を扱うボランティアなだけに、ちょっと緊張して参加したのですが、初めての人でも参加しやすいシステムが整っているので安心して作業を行うことができました。お仕事もどんどん与えてもらえて、ボランティアの最大の醍醐味「役に立ってる感」を私なりに少し味わえたのもよかったです。
この仕分けの作業中にも、食品を積んだトラックは次々と到着します。トラックが到着すると仕分け作業の手を止め、トラックの荷下ろしなどを手伝っていると、午前中はあっという間に過ぎていきます。
そんな忙しい合間にも、職員さんに色々お伺いしました。
これをいつも何人くらいで行っているんですか?

日によって違いますが、少ない時だと2人や3人で行ったりもします。
え!?2、3人はきついですね…

そうなんですよ。それもあって作業が多い月曜日は沖縄県労福協の職員さんが手伝いに来てくれています。
そうなんですね。それは助かりますね。

10名弱のボランティアさんがいますが、当然いつも全員が揃うわけではありません。毎週これだけの数の食品を受け入れて仕分けするとなると2,3名ではかなりの重労働だと感じました。
また、初めは広いと感じた倉庫ですが、いざ作業が始まると食品寄付が増えることもあって手狭に感じてきます。作業中、通路が塞がっていて遠回りをしたり、人とぶつかりそうになったりと苦労が多いように思いました。
沖縄のフードバンクの中でも食品の取扱量が圧倒的に多いことを考えると、広い倉庫と安定した作業人数が必要というのがよくわかりました。
パンの仕分け作業
沖縄のフードバンクには個人で経営しているいくかのパン屋さんからのパンの寄付がありますが、パンはあまり賞味期限が長くないので、早く届けられるように気を遣う食品の一つとのことです。
個人で経営しているパン屋さんで売られているパンには、もともと製造年月日や賞味期限が貼られていません。そのため、セカンドハーベスト沖縄では、手作業で一つ一つの袋に賞味期限シールをつけていきます。自分でパン屋で購入していないと製造日の見当もつかないので、品質の保証をするためにも寄付先には必要な情報です。
提供元のパン屋さんでは寄付するパンをあらかじめ個包装し、当日中に冷凍保存してくれます。それをまとめてセカンドハーベストが受け取り、製造年月日から賞味期限を割り出し、ラベリングしていきます。
その後、集まったパンの総数を数え、一人当たりの個数を決めて配分します。簡単なようでこれがなかなか時間のかかる作業でした。
作業中にはパンが解凍されないように、職員さんがこまめに冷凍庫から出し入れを行います。食品を安全に届けたいというセカンドハーベスト沖縄のこだわりを感じました。
お米の計量作業

米は主食なので寄付すると一番喜ばれる食品です。しかし沖縄ではお米作りがあまり盛んではないため、お米はなかなか集まりにくいとのこと。
沖縄で食べられている多くのお米は、他県から空輸されたものだそうです。
また、お米は賞味期限が明記されている食品ではないので、多少日が経っていても使い切ってしまう方が多いのでしょう。
お米をわけるには、その日に食品を希望する方の人数に大きく関係してます。
お米は世帯の人数でグラム数を割り出し、均等に配分していきます。
作業中「今回は○○グラムだからちょっと少ないね。前回は○○グラムで大喜びしてくれたんですよ。」などお話されていたことからも、フードバンクにおいてお米が希少な食品であることを感じました。
農家からの野菜の寄付

ひと段落した頃に、農家からの寄付で生野菜「エンサイ」が届きました。
労福協の職員さんが職員さんに「この箱は調理器具がない家庭だから、野菜は入れないで」話しかけているのが聞こえました。
ちょっとした一言ですが、細かい点まで配慮されていることに驚きました。
そんなに細かいことまで管理されているんですか?

はい。ここにチェックリストがあるでしょう。せっかくお渡ししても食べてくれないと意味がないから、こうやって聞き取り調査もしています。
チェックリストには、電気・水道・ガス・炊飯器・冷蔵庫・カセットコンロ・IH調理器・湯沸かしポットの有無などが記入されていました。
また、食品を利用して調理できるかどうかの確認も行っているそうです。
労福協に相談に来る方は色んな事情を抱えている人たちが多く、家にコンロがないとか、調理器具が無くて料理ができないとか、電子レンジはあるけど料理しないとか、状況は様々だからそれに合わせて配布しています。
どうやってその情報を得ているんですか?

福祉窓口などの職員を通じて本人に聞き取りしたり、家庭訪問をしたりして出てくる情報を共有しています。
ただ食品を渡すだけではなく、できるだけ必要な食品が届られる工夫がされていることに驚きました。できるだけ食品を無駄にしないという思いが込められているのですね。
また、2020年3月にはアンケートを実施しており、できる限り要望に応えられるように務めているようです。アンケート回答の一例をご紹介します。
- カセットボンベがありましたら、提供いただけると助かります(60代単身世帯)
- ミルク、離乳食希望(母子世帯・0歳児)
- 0歳児ミルクがあればいただきたいです(母子世帯、お子さん2名と0歳児)
- レトルト食品、缶詰希望します(50代男性1名、50代女性2名世帯)
- 新生児がいるため、ミルクやオムツいただけると助かります(20代夫婦、お子さん2名と新生児世帯)
- 歯が弱い方がいます。やわらかい食べ物があると助かります(60代男性1名、女性1名、30代男性、20代女性世帯)
- 冷凍パンは子ども達が食べないので遠慮したい(母子世帯、10歳以下5名)
このように労福協や行政が個人への聞き取りによって得た情報を共有し(個人情報は除く)、必要な人に必要な物を届け、無駄が出ないよう工夫がなされています。
時には、福祉窓口の職員さんが依頼者へ食品をお届けすることで、困っている方が福祉の窓口につながるきっかけにもなることもあるそうです。粉ミルクや離乳食、紙おむつを希望されることもあるようで、ベビー用品や食品を直接手渡すことで、困っている方との関係づくりの潤滑油にもなっているようです。
他府県のフードバンク団体によっては、社会福祉士などの専門家を雇用して、フードバンク団体と個人が直接的なやり取りを行っている団体もあります。
セカンドハーベスト沖縄では、今いる人数でできるだけ多くの食品をできるだけ多くの人に届けるために、企業と受け渡し先の中継という業務に集中し、色んな機関と手を組んで今の形になっているとのことでした。
色んな人たちの協力があって成り立っているのがフードバンクという活動だということを改めて知ると同時に、ここまで組織的に活動するにはたくさんの時間と労力、そして熱意があったんだろうと頭が下がる思いでした。
最後は賞味期限チェック
最後に行ったのは賞味期限のチェックです。
個人から寄付された食品の賞味期限をもう一度チェックするという作業に立ち会わせてもらいました。
企業からの寄付であっても、企業とセカンドハーベスト沖縄でダブルチェックが行われており、安全に食品提供されるように徹底されていました。
いずれ食品ロスになりえる食品とは言っても、メーカーからすれば会社の大切な商品です。大切に管理して適切に届けてくれるという団体との信頼関係がなければ、フードバンクという活動は成り立たないでしょう。そういった意味では、フードバンクの一番最初の活動は企業からの信頼を得ることなのかもしれません。
セカンドハーベスト沖縄の代表奥平さんも、企業の不安を解消するために、しっかりと話し合い誠実に対応すると話されていました。賞味期限のダブルチェックや冷凍保存の管理など、その想いは随所から見て取れました。セカンドハーベスト沖縄の細かい気配りが、企業からの信頼を得ている一因なのだと感じました。
ちなみに、セカンドハーベスト沖縄は日本フードバンク連盟からの認証を受けています。日本フードバンク連盟とは、安心安全なフードバンク活動が行われるために、内閣府から認定を受けて活動しているフードバンクの専門機関です。基準を満たした団体のみ認証が受けられるフードバンクのアライアンスです。
箱詰め後の食品の引き渡し
午後になると、常勤職員さんは事務作業を行いながら、施設や福祉の窓口の方が食品を受け取りに来るのを待ちます。
労福協の職員さんはボランティアを終えると、自団体へ相談に来た個人へ配布する食品を持って事務所に戻られ、ボランティアさんも同じタイミングでお仕事終了です。
食品の引き渡しは、午前中に窓口別に箱詰めした食品を、引き取りに来た施設や福祉窓口の方の車に積む作業です。施設の方はお一人かお二人で取りに来られ、車も大がかりなトラックなどではなく、乗用車に積めこんで運んでいました。
依頼数が多い施設や福祉窓口になると、軽バンの荷室が天井いっぱいになるほど多くの段ボールを積み込みます。これを暑い日差しの中で行うのはかなりの体力作業です。
ここで、寄付先の施設の方にも少しだけお話をお伺いすることができました。
セカンドハーベスト沖縄とはどのくらいお付き合いされているのですか?

もう長いお付き合いになります。
どのようにしてセカンドハーベスト沖縄を知りましたか?

セカンドハーベスト沖縄の方からご連絡をいただきました。そこからお世話になっています。わたしは栄養士の仕事をしておりますが、食品の提供は本当に助かっています。いただいた食品の中でも、お菓子やインスタント食品などは子どもたちが好きで、とても喜ぶので栄養面を考えながら出しています。緊急時や災害の時などにも本当に助けらています。
また、事務所のホワイトボードにはこんな心温まるメッセージが貼られてありました。

このメッセージカードは窓口の方経由で送られてきたそうです。
セカンドハーベスト沖縄では個人と直接的なやり取りを行っていないため、食品を受け取った人たちの声を直接聞く機会は多くはありません。
こうやってメッセージが届けられることで、きっと活動のエネルギーとなっていることでしょう。
また、2020年に実施されたアンケートについても拝見させて頂きました。
アンケートには、フードバンク利用のきっかけや、食品が何日分になったか、提供されて嬉しかった食品や利用しなかった食品など、16の質問が並んでいました。
その中でも私が一番気になったのは、フードバンクを利用して気持ちの変化はあったか?という問いです。75名中72人が「安心した」という解答をしていました。
中には、「次の目途がつくまで頑張ろうと思えた」と回答している方もいて、フードバンクという活動が食品を受け取った人たちの活力となっていることがよくわかりました。
セカンドハーベスト沖縄の職員さんにインタビュー
色々とご指導を頂いた常勤職員さんに、少しお話をお伺いすることができました。
竹内―セカンドハーベスト沖縄で活動されている方の人数はどのくらいですか?
職員さん―常勤職員が4名。その他にも10名ほどのボランティアさんが手伝ってくれています。
竹内―職員さんは普段何をなさっているのですか?
職員さん―セカンドハーベスト沖縄のお仕事が月水金なので、他の日は違う仕事をしています。コールセンターや動物病院で働いている職員もいれば、お仕事は引退されている方もいます。お手伝いしてくださるボランティアさんにも様々な方がいらして、パイロットや自衛隊、ご近所の主婦の方など様々な方がいらっしゃいます。
竹内―月曜日は箱詰めの日ということですが、他の日は何を行っているんですか?
職員さん―水・金は事務作業を行ったり、賞味期限のチェックなど月曜日の箱詰めの準備をしています。また、個人の方が直接食品を持ってきてくれたりするのでその対応をしています。沖縄はゆいまーる(助け合う)の文化なので、個人の方でも寄付してくれる方が多いんです。
竹内―ボランティアが必要な時はどんな時ですか?
職員さん―特に毎週月曜日の箱詰めの日は、ボランティアさんがいるととても助かります。また、不定期ですが、食品運搬や週末イベントのお手伝い、広報誌の作成、ちらしの配布、新しい募金箱設置店舗の開拓、事務所のお掃除、フードドライブの開催などでもボランティアさんを募集しています。
一緒に参加していたボランティアさんにもお話をお伺いしました。
竹内―いつもボランティアに来られている方ですか?
ボランティア―いえいえ、私は2回目なんです。
竹内―何がきっかけでこのボランティアを?
ボランティア―ある時、家でお米が余ってしまって、このままだと古くなるばかりだと思い、もったいないからどこかに寄贈できないか?って探していたんです。それで見つけたのがセカンドハーベスト沖縄でした。前にも同じようなことがあったんですが、その時はどうしたらいいのかわからずに捨ててしまったんですが、今回は同じように(捨てる)はしたくないなと思って探しました。
竹内―そこからボランティアも始められたんですか?
ボランティア―はい、少し興味があって。お手伝いできることがあるなら、やらせて頂こうと思い、今日も参加しました。
「たまにですよ」と謙遜されていましたが、私はとても素敵な事に感じました。
一人の消費者として、食べきれない食品がでることはあると思います。その時、皆さんはどんな選択を想像しますか?
おそらく多くの方が「捨てる」という選択をするのではないでしょうか?フードバンクの存在を知っている方は違うかもしれません。しかし一般的には、ある程度食べる努力をして、それでも無理な場合は「捨てる」という選択をする方が多いように思います。
今回出会ったボランティアさんは、過去に捨てたことをもったいなくて気になっていたとお話されていました。そう感じていること自体が素敵なことですが、そこから他の選択肢を探し、フードバンクを知り、フードバンクに寄付するという行動まで移されたことはもっと素敵なことだと感じました。
日々の生活の中のほんの小さな選択の変化かもしれませんが、それこそが食品ロスを減らす大きな一歩でもあります。
そんな素敵な思いを持った人たちの気持ちで成り立っているのがフードバンクという活動なのかもしれません。
フードバンク体験の感想
今回フードバンクのボランティアに参加して感じたことは、フードバンクはもったいない食品を生かす素敵な活動だということ。そしてその活動には、素敵な連鎖が生まれるということです。
セカンドハーベスト沖縄が扱う年間およそ50トンという食品は、ここで活動する方たちがいなかったら、食品ではなく「ゴミ」となって捨てられていました。
フードバンクがあることで、一般消費者や企業は「捨てる」から「寄付する」という選択に変えることができます。一般消費者や企業の選択の変化から生まれる素敵な連鎖。消費者も企業も食品を受け取る人も、そして社会の為に汗を流すフードバンク職員さんも、みんなが幸せになり社会全体が豊かになる活動です。
セカンドハーベスト沖縄の代表奥平さんは、「食品を受け取ってくれる人たちに申し訳ないと思ってほしくない。食品を受け取ってくれる人は、食品を一緒に消費してくれる人」と語っていました。
フードバンクは貧困問題などがクローズアップされがちですが、企業とフードバンク、そして食品を受け取る方の三位一体で取り組む、食品ロスを減らすための活動でもあります。”もったいない”を減らすため、食品ロスを減らすために、フードバンクという活動の輪に加わってみてはいかがでしょうか?