フードバンクに寄付することによる企業側のメリットとは?

フードバンク

食品ロスと貧困という2つの社会的課題に同時にアプローチできる仕組みとして、昨今注目を集めているフードバンク。フードバンクと連携して、食品ロスの削減に取り組む企業は年々増加しています。

2015年、持続可能な開発目標「SDGs」のターゲットの一つとして、2030年までに小売や消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料廃棄を半減させ、生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させることが目標として掲げられました。

これを受けて、今後さらにフードバンクに協賛・支援する企業が増えることが予想されます。
それでは、企業がフードバンクに食品を寄贈することにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

食品廃棄コストの削減

企業がフードバンクに食品ロスを寄贈するメリットの一つに、食品廃棄にかかるコストの削減があります。

当然ながら食品廃棄に係るコストは処理業者、食品の状態(包装の有無など)によって異なりますが、1キロあたり100円以上のコストがかかるのが一般的です。
また、商品として包装されたままの状態の食品は、包装されていない食品よりも廃棄コストがさらに高くなります。そのため、廃棄コストを抑えるために、商品の包装の分別作業を自社で行う企業もあります。

廃棄コストと包装を分別する人的コスト、さらには保管費用なども考えると企業には大きな負担がかかります。

一方で、フードバンクへの寄付にかかるコストは輸送費のみです。商品の包装の分別作業なども考えると、人的コストの削減にもつながり、廃棄するよりも大きなメリットが得られます。

ちなみに、企業から出た食品ロスは、食品廃棄物処理業者によって肥料化、飼料化、燃却などの方法によって処理されます。この3つの処理方法の中では、焼却にかかる処理単価が最も高いという調査結果もあります。
参考:食品廃棄物の処理料金に関する調査結果報告書 公益社団法人大阪府産業資源循環協会より

税制上の優遇措置

企業がフードバンクに食品寄贈することの第二のメリットは、税制上の優遇措置です。

企業がフードバンクへ食料品を寄贈した場合、法人税法上の取り扱いについて「一定の条件のもと、経費として全額損金算入を認める旨」が国税庁より公表されています。
これまでは廃棄する方が税制上のメリットが大きいと考える企業も多くありましたが、これにより企業が廃棄ではなくフードバンクへの寄付を選択しやすくなりました。

全額損金算入が認められるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  1. 社内ルールに従って廃棄予定の食品をフードバンクへ寄付するものであり、目的が食品ロスの削減であること。
  2. 食品の転売等の禁止や、食品の取扱いに関する記録の保存、結果の報告などのルールを定めており、提供した食品が目的以外に使用されないことが担保されていること。

以下は国税庁ホームページからの抜粋です。

フードバンクへの食品の提供が、実質的に貴社の商品廃棄として行われるものであれば、その提供に要する費用を、提供時の損金の額に算入して差し支えありません。

(理由)
一般的に、法人が資産(食品)を寄附した場合には、その寄附は一般の寄附金として一定の限度額までしか損金算入することができません。しかしながら、貴社の場合、次の事実関係が認められますので、お尋ねの費用については、寄附金以外の費用として取り扱うことができます。

  1. 本件の食品の提供は、社内ルール等に従って廃棄予定の食品をフードバンクが回収するものであり、貴社にとって、実質的に商品の廃棄処理の一環で行われる取引であること。
  2. 貴社とフードバンクとの合意書において、提供した食品の転売等の禁止や、その食品の取扱いに関する情報の記録及び保存、結果の報告などのルールを定めており、提供した食品が目的外に使用されないことが担保されていること。また、貴社において提供した食品の使途が確認できること。

なお、上記のような商品廃棄のケース以外でも、例えば、貴社の広告宣伝のために食品を提供する場合には、その提供に要する費用は広告宣伝費として損金の額に算入することができます。
【関係法令】
法人税法第22条第3項、第37条

国税庁HP 法人税に関する質疑応答事例より

企業のイメージアップ

物があふれる現代では、消費者の買い物行動は多様化しています。
必要なものはあらゆる場所で手に入るので、消費者の中には「買い物は企業への投票」という考えを持つ方も増えています。

「同じものを買うなら社会に貢献している企業の商品を」と考える方も少なくはありません。今や消費者は企業の理念や社会貢献度までをも評価する時代になりました。

フードバンクへの食品寄贈は、企業の社会的責任(CSR)を果たすための、社会貢献活動の一環と考えることができます。
食品廃棄ではなくフードバンクへの寄贈を選択することで、企業のイメージアップに大きくつながると考えられます。

フードバンクは、食品ロスを削減し貧困問題を解決する手段の一つとして、国が支援している活動の一つです。商品として販売することが難しくなった食品は、廃棄ではなくフードバンクへ寄贈することで、企業イメージの向上へつながるという大きなメリットがあります。

社員のモチベーションアップ

企業の社員は自社商品をできるだけ多くの人に食べてもらうために、日々多くの努力をされていることでしょう。在庫商品を廃棄するということは、大切にしてきた商品をゴミにするということです。

しかし、廃棄ではなくフードバンクへの寄贈を選択することで、誰かが食べる食品として大きな価値を残すことができます。自社の大切な商品が廃棄されるよりも、必要としている誰かのもとに届けられ、喜んで食べてもらえる方が、社員のモチベーションアップや自社に対する誇りにもつながります。

また、今後は一般企業ではなくNPO法人への就職を希望する大学生が増加することも予想されています。利益を生み出すだけではなく、仕事を通じて社会貢献したいという意識を持つ若者も少なくはありません。
フードバンクへの寄贈など社会貢献活動に取り組むことで、優秀な人材の獲得につながることも考えられます。

CO2削減と地球温暖化の防止

食品廃棄物を燃却する際には多くのCO2が排出されます。
また食品廃棄物は80%近くの水分を含んでいるため、水分がなくなるまで燃やす必要があり、乾燥した廃棄物を燃却するよりも多くのエネルギーが必要となります。

食品ロスを減らすことはCO2削減や地球温暖化の防止に加えて、エネルギーの節約にもつながります。
廃棄食品や余剰食品を処理業者に委託するのではなくフードバンクへ寄付することで、地球環境の保護にもつながっています。

食品廃棄物処理業者によっては肥料化、飼料化による再利用も行っていますが、食品のリユースにはやはりエネルギーが必要になります。
フードバンクへの寄贈は省エネルギーで低コスト、地球環境にも優しい選択と言えます。

フリーマーケティング

企業にとって、お客様の声は商品を企画・販売する上で何よりも貴重な情報であり、マーケティングに多額の費用をかけている企業も少なくはないでしょう。

フードバンクを通して企業の商品が多くの人の手に渡ることで、潜在的なニーズを掘り起こし、新たなマーケットの開拓につながるというメリットも考えられます。
また、フードバンクを通して新製品のモニタリングを検討してみるのも良いでしょう。

まとめ

企業で販売できなくなった食品は、廃棄ではなくフードバンクへの寄付を選択することで、多くのメリットを生み出すことができます。
フードバンクへ食品を寄付することは、食品ロスの削減につながるだけではなく、企業にも直接的なメリットがあることと考えられます。
国際的な課題である食品ロスの削減に向けて、フードバンクへの食品寄付を検討してみてはいかがでしょうか?

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